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「あたり個体」とは？CPUにあたり外れがある理由を解説
CPUのオーバークロック界隈では「あたり個体」という言葉を見かけることがあります。
オーバークロック耐性が高い個体は「あたり」ともてはやされるのですが、工場で精密に作られているCPUに、なぜ性能にばらつきがあるのか疑問に思う方もいるでしょう。
今回はCPUにおける「あたり個体」とは何か、当たり外れが発生する理由などを解説します。
そもそも「あたり個体」とは何か
「あたり個体」とは、同じ型番のCPUであっても、性能がわずかに優れている個体のことを指します。
CPUは大量生産されていますが、製造プロセスの微細な違いにより、わずかに特性が異なる個体が生まれるんですね。
これはCPUだけではなく、例えば自動車の世界でもあります。不具合が全く発生しない個体と、頻繁に発生する個体が結構はっきり分かれます。
CPUの場合は、動作電圧が規定外（高くても低くても）でも安定するものや、発熱が少ないものなど「あたり」ですね。
逆に、動作電圧が高めでないと安定しないものや、発熱が多い個体は「はずれ個体」と呼ばれることがあります。
なぜ精密機械のはずのCPUに当たり外れがでるのか
CPUはナノメートル単位の極めて精密なプロセスで製造されています。しかし、シリコンウェハー（CPUの材料）を加工する過程で、完全に均一な品質を保つのは技術的に不可能です。
CPUは一枚の大きなシリコンウェハーから複数のチップに切り出して作られますが、ウェハーの中心部と端の部分では、製造時の条件に微細な違いが生じます。
その結果、電気信号の伝わり方や発熱特性にわずかな差が生まれ、「当たり外れ」につながるわけです。
また、CPUは工場出荷前に検査を受けますが、その際に定められた動作周波数や電圧の基準を満たしていれば、すべて同じ製品として出荷されます。
ただし、その中には基準を余裕をもってクリアできるものと、ぎりぎり基準を満たしているものが混ざっているため、個体ごとの差が生まれるのです。
CPUのあたり個体の特徴
あたり個体のCPUには、以下のような特徴があります。
低電圧で安定して動作する
通常、CPUは一定の電圧を供給しないと安定しません。しかし、あたり個体はより低い電圧でも正常に動作することがあります。
私の個人的な感覚ですが、「電圧を上げて高性能になる個体」よりも「低電圧で安定して動く個体」のほうがあたり感が強いですね。
発熱が少ない
同じクロック周波数で動作させた場合、発熱が少ない個体は冷却がしやすく、高負荷時の安定性も向上します。
オーバークロック耐性が高い
通常の動作周波数よりも高いクロックで動作させる「オーバークロック」を行った際、あたり個体はより高い周波数でも安定しやすくなります。
現在はそれほど当たり外れを意識する必要がない
かつては、CPUの当たり外れがPCの性能や安定性に大きな影響を与えることがありました。例えば2万円のCPUでもあたりを引くと、5万円のCPUに相当する性能を出せたからです。
しかし、近年のCPUは標準の動作周波数や電圧が十分に最適化されており、一般的な用途であれば当たり外れを気にする必要はほとんどありません。
標準機能としてオーバークロックが組み込まれていますしね。そもそもグレードによってコア数が全く違うので、無理にオーバークロックをやるよりも素直に上位グレードを購入したほうが手間も時間も無駄になりません。
さらに、メーカー側も個体差を抑えるための改良を続けており、最近のCPUは以前より品質のばらつきが少なくなっています。
普通にPCを使う分には、どの個体でも快適に動作するように作られているので、安心して選んでください。
