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最近のPCはなぜフリーズしなくなったのか

   

かつてPCユーザーにとって「フリーズ」は日常の一部でした。

ブラウザを開いただけで画面が固まり、Ctrl+Alt+Delも効かず、電源ボタン長押しで強制終了……。とくにWindows XP以前の世代はひどかったですね。

しかし、Windows 7以降、とくにWindows 10や11の時代になってからは、「PCがフリーズする」という現象自体が激減しました。

今回は、なぜ現代のPCはフリーズしにくくなったのか? その背景を技術的観点から具体的に解説していきます。

XP時代までは「フリーズ」はシステムの宿命だった

Windows 98~XP時代、PCがよくフリーズしていたのにはいくつか明確な理由があります。

まず、マルチタスク処理の基盤が未成熟だったこと。ひとつのアプリケーションが異常動作を起こすと、システム全体が巻き込まれて停止することが珍しくありませんでした。

加えて、ドライバーの品質や互換性が低かったことも大きな要因です。当時はハードウェアベンダーごとに提供されるドライバーがバラバラで、OSとの衝突やメモリリークを起こしやすい設計だったため、フリーズの温床になっていました。

さらに、ファイルシステム(FAT32など)やメモリ管理が脆弱で、不正なデータが書き込まれたり、開放されないメモリが蓄積した結果、システムが固まるということも多かったのです。

Windows 7以降、何が変わったのか?

Windows 7(2009年)以降から、OSとハードウェアの設計に大きな進化があったことで、フリーズは激減。以下のような技術的な改善が理由です。

メモリ保護とカーネルの分離が強化された

Windows Vista以降、OSカーネルとユーザープロセスとの保護境界(カーネルモードとユーザーモードの分離)が厳密になり、1つのアプリケーションが暴走しても、他のプロセスやシステム全体に波及しにくくなりました。

さらに、仮想メモリ管理の精度も向上し、不正なアドレスアクセスによるシステムクラッシュが激減。これだけでも安定性は劇的に改善されました。

ドライバーの署名と品質管理が強化された

Windows 7以降、ドライバーのデジタル署名が原則必須となり、MicrosoftによるWHQL認証(Windows Hardware Quality Labs)が推進されました。

互換性や品質が確認されたドライバーのみが流通しやすくなり、不安定な動作の原因が大きく減少しました。

また、Windows Update経由でドライバー更新が統一管理されるようになり、ユーザーが外部サイトから未成熟なドライバーを拾うリスクも大幅に軽減されています。

GPU・マルチコア処理の安定化

現代のPCはマルチコアCPUとGPUの並列処理が基本となっており、OSもそれに最適化されています。

特定のプロセスが重くなっても、他のスレッドやプロセスに影響を与えずに処理を分散できるため、「一つの重い処理が原因で全体が止まる」という状況が起きにくくなりました。

とくにWindows10以降は、GPUアクセラレーションやメモリの割り当てがより賢くなり、アプリごとにクラッシュしてもOS自体は平然と動き続けるわけです。「巻き込み事故」が起こりにくくなったイメージですね。

自動回復機能とクラッシュ管理の進化

現代のWindowsは、「クラッシュしないようにする」だけでなく、「クラッシュしても復旧できる」仕組みが強力です。

例えば以下のような仕組みですね。

・フリーズ検知時のアプリ単位の強制終了(タスクマネージャ)
・GPUやオーディオなどのデバイス単位の再初期化
・OSの自己修復機能や更新による修正ループ

これらが組み合わさることで、「フリーズしたら再起動」から、「とりあえずそのアプリだけ閉じれば大丈夫」へと、使い方が変わってきました。

フリーズしないのは、運ではなく“進化”の結果

「最近のPCってフリーズしないなあ」と感じるのは、単なる偶然ではありません。

OSの堅牢性・ドライバーの信頼性・ハードウェア設計の合理化という、10年以上にわたる技術的進化の積み重ねによって生まれた、れっきとした“成果”なのです。

今でもまれにフリーズは起こり得ますが、その頻度と深刻度はかつてとはまったく異なります。今私たちが感じている「PCが安定している」という感覚は、実はOS設計者やドライバーメーカー、ハードウェアエンジニアたちが積み上げてきた、目に見えない努力の結晶なのかもしれません。

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