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CPUグリスの効き目は素材でどの程度違うのか
ゲーミングPCの性能はCPUによって大きく変わるため、CPUの冷却に力を入れる方が多いと思います。私もCPUの冷却に血道をあげたことがあり、特にグリスは何種類も試しました。
CPUグリスは実質無料のものから高価なものまでさまざまですが、どの程度違いがあるのでしょうか。素材ごとに過去の使用感をまとめてみます。
CPUグリスの種類と熱伝導率
CPUグリスの種類は大体以下の4つです。
シリコーン
最もスタンダードで安価なグリスです。以前はCPUクーラーのリテール品にも付属していましたね。
シリコーンはオイルやゴム、樹脂などに姿を変えますが、その一種がシリコーングリスです。
熱伝導性が良いうえに適度な粘土があり、非常に使いやすい素材です。
一方で、乾くとカピカピ状態になり、ほとんど仕事をしない状態になってしまいます。シリコーングリスの熱伝導率は大体2~4W/m・Kです。
ちなみに「W/m・K」とは「ワット毎メートル毎ケルビン」で「厚さ1mの板の両端に1℃の温度差がある時、その板の1平方メートルを通して、1秒間に流れる熱量」表しています。
シルバー
シリコーンをベースとしてシルバーの金属粉が混ぜられているタイプですね。
銀単体であればシリコーンよりもはるかに熱伝導率が高いものの、実際にはシリコーンをベースとして銀が配合されているため、それほど大きな変化はもたらしません。
熱伝導率は、製品によって差があるものの、代替3~9W/m・Kでしょうか。
したがって、シリコーングリスよりも高価で、実際の温度も2~3度程度下がることが多いでしょう。
ネット上では10度以上変わった!というレビューもありますが、私はそこまで大きな変化を体験したことがありません。
そもそも10度も変わるということは、その前のグリスが乾いていたか、古かったか、適切に塗られていなかったかのどれかではないかと思います。
ダイヤモンド
非常に熱伝導性が高い(1000~2000W/m・K)ダイヤモンドを配合しているグリスです。ただし、ダイヤモンドを視認できるほど贅沢に使われているわけではありません。
あくまでも成分として「ナノダイヤモンド化合物」が含まれています。熱伝導率は12~14W/m・Kといったところでしょうか。一般的なシリコーングリスの3倍ほどです。
ダイヤモンド配合のグリスは、確かに良く冷えます。また、価格と性能がつりあっていてバランスが良い製品が多い気がしますね。
シルバーを使ってもあまり変わらない温度が、ナノダイヤモンド配合のグリスにした途端、4度ほど下がった経験があります。
液体金属
日本でも有名な「熊グリス」(thermal grizzly社製のグリス)は、独自配合の液体金属を使用しています。
なんでもスズ、ガリウム、インディウムをベースに特別な配合で作られた熱伝導率の高い液体金属なのだそうです。
その熱伝導率はダイヤモンドを上回り、フラッグシップの「TG-C-005-R」では、73W/m・Kという驚異的な数値をマークしています。
実は私も一度だけTG-C-005-Rを使用しましたが、確かにシルバーグリス比で8度ほどCPU温度が下がりました。また、冷却速度が速く、高付加状態が解除されたあとの温度の下がり方が凄かったです。
かなり高価ですが(シルバーやダイヤモンドの3倍以上)、確実に温度を下げたいのであれば積極的に選ぶべきかもしれません。
ちなみに、シリコーンとの混合品である廉価版は、ナノダイヤモンド制と大差ない性能ですのでご注意を。
カーボン、セラミック
この2つについては使用したことがありませんが、友人の使っているところをみた限りでは、「シリコーンより少しマシなくらい」の冷却性能でしたね。
ただし、カーボン+シリコーン+シルバーのような配合もあるため、厳密に言えば単純比較が難しいのです。シリコーンよりも少し高めのグリスで採用されています。
シルバーとナノダイヤモンドを常用でも意外と安い
シルバー配合グリスとナノダイヤモンド配合グリスは、1000円台前半から売られています。正直なところ、常用してもそれほどお財布は痛くありませんよね。
ただし、あくまでもグリスは「CPUクーラーが持つ冷却能力の範囲内」で温度差がでるものですから、まずはCPUクーラーをしっかり選んでください。