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マルチチップレットとは?AMD CPUの最新冷却戦略
日々進化し続けるCPUですが、近年はチップレットの複数化がトレンドのようです。特にAMDは「マルチチップレット」と呼ばれる構造を採用することで、性能と用途の広がりを実現してきました。
しかし、チップレット数が増えるにつれて、温度管理や涼却にも新しい工夫が求められるようになりました。今回は、AMD CPUにおけるマルチチップレットの概要と、最新の涼却戦略について解説します。
マルチチップレット構成の基礎
マルチチップレットとは、複数のチップをバスインターポーザで繋いで構成する技術です。従来のモノリシックダイ(単一ダイ)に比べて設計や製造の自由度が高くなり、大量のコアを搭載することが可能となりました。
AMDは「Infinity Fabric」という独自バス技術を使用し、コンピューティング・チップ(CCD)とインプット・アウトプット・チップ(IOD)を高速に連結しています。
Infinity Fabricによって、製造コストを抑えつつスケーラビリティを高め、多様なニーズに応じたCPUを提供できるようになりました。
たとえば、Ryzen 7000シリーズやサーバー用途のEPYCプロセッサは、このマルチチップレットの恩恵を受けています。ゲーム用途からサーバー用途まで幅広く対応できる点が、マルチチップレットアーキテクチャの大きな強みです。
しかし、この設計には新たな課題もあります。それは、各チップ間で発生する熱の管理です。複数のダイが密集するため、冷却効率を最適化しなければ性能低下や寿命短縮を招くリスクがあります。
最新の涼却戦略:計算部分の集中涼却
AMDは、マルチチップレット設計における冷却課題に対応するため、さまざまな冷却技術を導入しています。最新世代のRyzen 7000シリーズでは、特に「計算部分の集中冷却」が重要視されています。
まず、CCD(コンピューティングダイ)とIOD(インプット・アウトプットダイ)の物理配置を最適化することで熱源を局所化し、冷却しやすい構造を実現しました。
また、熱伝導を向上させるために、ヒートスプレッダーにも大幅な改良が加えられています。
たとえば、CPUダイとヒートスプレッダーの接触面を均一にし、液体金属に近い高性能な素材(サーマルインターフェースマテリアル(TIM))を使用することで、熱移動効率を高めています。
簡単に言えばCPUとCPUクーラーとの接触面積が拡大し、より多くの熱を効率的に逃がすことができるようになりました。こうした工夫の甲斐もあって、マルチチップレット配置による冷却の難しさをカバーできるよう工夫されています。
また、一部のマザーボードでは、VRM(電源回路)冷却にも工夫が施され、システム全体の発熱を抑制する設計が進んでいます。ゲーミング用途のような高負荷の長時間運用に耐えられる環境が整いつつあるわけですね。
PCゲーマーとして理解すべき涼却トレンド
AMDが採用するマルチチップレット構成は今後のCPU製造技術のトレンドになりそうです。
これからのCPUアーキテクチャは、コア数やクロック速度だけではなく、温度制御や涼却技術まで含めて総合的に理解し、最適化する時代に入っています。
我々PCユーザーにとっては嬉しいのですが、問題は価格ですね。マルチチップレット化が高価格化に繋がらないことを祈るばかりです…。