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「CPUとGPUはどちらが優れている?」という疑問に対する答え
「CPUとGPUって、結局どっちが優れているの?」という質問は、たまに耳にします。特に最近はGPUの用途が拡大しているので、「CPUいらなくね?」という意見も多いですよね。
この疑問に対して単純に「こっちが上」と答えるのは、実はとても難しいのです。
なぜなら、CPUとGPUはそれぞれまったく違う目的で設計されていて、得意な作業の方向性が根本的に異なるからです。
昔は全部、CPUひとりでやっていた
かつて、コンピュータにはCPUしかありませんでした。映像の表示も、画像の処理も、動画の再生も、CPUが一手に引き受けていたのです。
CPUは「論理的で複雑な処理」を高速にこなすことを得意とする設計になっています。
そのため、描画処理で行われるような「同じような単純計算を1000個同時に処理してね」というような作業は、本来の設計思想に合っていませんでした。
この弱点を補うために登場したのがGPU(Graphics Processing Unit)です。
最初は映像描画に特化した補助的なチップでしたが、「単純だけどとにかく量が多い計算を同時に処理する」ことに特化した設計が功を奏し、やがて映像以外の用途にも広がっていきました。
CPUの得意分野は「柔軟で複雑な判断」
CPUは、GPUに比べるとコア数が少ないです。しかし、ひとつのコアがとても高性能です。高度な分岐処理や、条件によって動作が変わるような柔軟なタスク処理を得意とします。
たとえば、OSの制御、ゲーム中のAI、Webブラウザの描画処理、アプリの起動や管理といった、同時進行で複雑なタスクを処理する場面において、CPUの能力は不可欠です。
また、タスクの内容が次々と切り替わるような状況においても、CPUはスムーズに順応できます。
「小回りの利く司令官」みたいな存在、それがCPUですね。
GPUの得意分野は「大量の単純作業を一気に処理」
一方でGPUは、「同じ作業を大量に、同時にこなす」ことに特化しています。
GPUは何百、何千という演算ユニット(CUDAコア)を持っていて、全ユニットに同じ命令を一斉に送り込んで並列処理を行います。
この構造は、画像処理や動画エンコード、リアルタイムレンダリング、AIの学習、暗号計算など「大量データの反復処理」に非常に向いています。
複雑な判断や分岐が少なく、「ひたすら同じ作業を繰り返す」ような場面では、CPUよりも何倍もの処理速度を発揮します。
GPUはまさに「高速で、かつ同時に働き続ける大量の作業員部隊」のような存在です。
どちらが優れているか、ではなく「何をさせたいか」
このように、CPUとGPUは設計思想も得意分野もまったく異なるため、「どちらが上か」という質問に答えることは、あまり意味がないのです。
スプリンターとマラソンランナーに「どっちが速い?」ときくようなものですね。そもそも想定しているルールとゴールが違います。
CPUは高度で複雑な制御と判断に強く、OSやアプリの基盤として不可欠な存在です。GPUは一括処理に特化し、ゲームの描画やAIの学習などで爆発的なパフォーマンスを発揮します。
使い道に応じて、それぞれが主役になり、脇役にもなるということです。
実際のPCではどう役割分担しているのか?
現代のPCでは、CPUとGPUは連携して動作しています。
たとえばゲームをプレイするとき、ゲームエンジンの挙動やUI制御、セーブデータ管理などはCPUが担当し、キャラクターのモデル描画や背景レンダリング、光の反射表現などはGPUが担当します。
動画編集ソフトでは、プレビュー再生など一部はCPU処理ですが、最終的なレンダリングはGPUを活用して高速化されます。
最近では、ブラウザのページ描画やOSのアニメーションにもGPUが使われており、両者の境界はあいまいになりつつあります。
近い将来、CPUとGPUは融合するとも考えられていて、これはゲーミングPCにも影響を与える可能性が高いです。
そもそも内蔵グラフィックが高性能化していけば、独立したグラボは必要なくなりそうなので、区分け自体の意味がなくなるかもしれないですね。
ただし、現時点では明確な役割分担があり、「どちらが上」という判断はできないと考えて良いでしょう。