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12VHPWRコネクタは廃止?ATX3.0の新コネクタ「12V-2×6コネクタ」とは

   

近年、PC用電源に関する最もホットな話題といえば「ATX3.0の普及」ではないでしょうか。

ATX3.0電源が持つ最大の特徴は、グラボに潤沢な電力を供給する新しいコネクタ「12VHPWRコネクタ」です。

しかし、12VHPWRコネクタにはいくつかの問題があり、安定性に疑問符が打たれていました。これを受けて登場したのが「12V-2×6コネクタ」です。

12VHPWRコネクタの問題点とは

12VHPWRコネクタはATX電源の新規格「ATX3.0」の目玉となる機能でした。しかし、2022年に12VHPWRコネクタについていくつかの問題点が浮上します。

負荷の偏り

従来の8ピン×3から変換コネクタを噛ませて12VHPWRコネクタ化した場合、特定の8ピンコネクタのみに負荷が偏るという事象が報告されていました。

例えば500W電源を使用すると、8ピンコネクタAには120W、Bには100W、Cには280Wといった具合に、Cのみに大きな電力が流れてしまうというもの。

消費電力が小さい場合は問題ないのかもしれませんが、そもそも12VHPWRコネクタ自体がTDPの高いグラボ用の装備ですから、安全上の不安はぬぐい切れません。

コネクタおよびケーブルの融解問題

上記は変換コネクタを使用した場合の問題点ですが、このほかにも12VHPWRケーブル自体の脆弱性が指摘されていました。

具体的には、一定以上の容量を持つ電源を使用した場合に、コネクタやケーブルが融解してしまうというものです。

また、耐久性にも疑問があり、数十回の取り付け・取り外しで誘拐が発生するというケースも報告されています。

これは12VHPWRコネクタ自体の設計上の問題なのか、製造したベンダーの技術力問題なのか定かではありませんが、海外では複数の事例が報告されていることから、12VHPWR特有のリスクと考えられているようです。

ただし、日本国内では「グラボへの挿し込みが不十分な状態で融解が起こるため、コネクタの精度の問題ではないか」との指摘が見られます。

もしかすると、前述の負荷の偏りも変換コネクタとの結合がうまくいっていないことによることなのかもしれませんね。

12VHPWRコネクタの問題点を克服する新コネクタ「12V-2×6コネクタ」

こうした問題を解決するためなのか、2023年春ごろからATX3.0の新しい電力供給コネクタとして「12V-2×6コネクタ」が登場しました。

「12V-2×6コネクタ」は、ATX3.1という規格の中で策定されており、実質的に12VHPWRのバージョンアップ版という位置づけとなる模様。

12VHPWRからの変更点としては以下が挙げられています。

・4ピン部分について、12VHPWRよりも奥に配置されるように変更
・4ピン部分の信号について挙動を変更(解放状態で電力供給を行わず、短絡状態で供給するように変更)
・コネクタやケーブルの損傷を防止するために、コネクタ直後にケーブルを束ねる場合に一定の距離を空けるように推奨
・ケーブルの抜き差しや上下左右の物理的な負荷に対して、安全性の証明を行うためにテストの条件を厳格化

変更された点を大雑把にまとめると「過剰な電力供給を行わず、ケーブルやコネクタの物理的な耐久性を高める」ための改良が加えられているようですね。

性能的に大幅な向上があるわけではありませんが、安全性と耐久性を高めているので、使いやすくはなるのかもしれません。

12VHPWRは1世代で終了、今後はATX3.1の12V-2×6コネクタへ

12VHPWRは残念ながら1世代で終了となり、今後は12V-2×6コネクタが主流になる見込みのようです。

すでにFPSから12V-2×6コネクタ採用のATX3.0世代電源が登場しており、2023年中に日本でも販売されるでしょう。

名称は、モデル名の末尾に「12V-2×6」が付与されたものとなるようで、一目で改良版と分かりやすくなっています。

今後はどの電源メーカーも12V-2×6への移行を進めていくと思いますので、もし電源の買い替えを検討しているならば2023年の秋以降まで様子を見たほうが良いかもしれません。

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